アルミ精密板金加工の需要拡大

現在、当社でも多くのアルミ板金部品の製造依頼をいただいており、特に高い精度要求のアルミ精密板金加工に関するご相談が多くなっていると感じています。

このアルミ精密板金加工の需要が高まっているのは、特に2つの理由があると感じています。

軽量化

例えば、当社で実際にご相談いただいているのは、産業用ドローンです。空を飛ぶドローンの部品のため、軽量化のために材質は主にアルミ(A5052)が採用されています。また少しでも強度を上げるためにアルマイト加工を行うことが多くなっております。

 

高純度アルミ材

現在では、理化学機器や研究開発用途、航空・宇宙用途で、高純度アルミのニーズが高まっています。実際に当社でも、試作形状にはなりますが、板厚2mmのA1050のアルミ材を使用し、抜き加工及び曲げ加工を行った実績がございます。

 

 

アルミの精密板金加工における6つのポイント

続いて、そんな需要の高まっているアルミ精密板金部品に対して、板金加工におけるポイントをご紹介いたします。アルミ精密板金加工のポイントは、下記の6つで大きくまとめられます。

  1. 組立工程を効率よくするための構造設計
  2. 板厚や形状による抜き加工方法の使い分け
  3. 反りや伸びを抑えた精密曲げ加工
  4. 変形や歪みを抑えたアルミ溶接
  5. 前後工程を踏まえた上でのアルマイト処理
  6. アルミ精密板金の一貫製造体制
組立工程を効率よくするための構造設計

まずアルミのの精密板金加工を行う上で重要なのは、アルミ板金部品全体での構造設計です。

例として、実際に当社にご相談いただく産業用ドローンを用いて解説いたします。ドローン向けの様々な部品の中には、ポップナットやセルスペーサー等をカシメ加工にて取り付けています。こうすることで、ドローンを組み立てる際の位置決めが容易になり、組立工程が簡略かつ効率的になります。また、精度が要求される部品が多いのもドローン部品の特徴の一つです。軽量化が求められる上に組立精度要求も厳しくなるため、ドローン用板金部品においては相応の設計ノウハウや精密板金加工技術が必要になります。

 

板厚や形状による抜き加工方法の使い分け

当社では、アルミ板金加工においては、0.5mmの薄いアルミ板から、最大の板厚としては5mmまでの加工実績がございます。当社では、アルミ材の板厚によってファイバーレーザー加工機や、NCT(タレットパンチプレス)を使い分けしております。例えば5mmのような厚い板材の場合は、基本的にファイバーレーザー加工機によって抜き加工をおこないます。

また、形状によってもアルミ材の抜き加工の方法を選定する必要があります。例えば大きなR形状であれば基本レーザー加工で行い、金型にて対応できるR形状の場合はNCTにて加工する、という使い分けが必要となります。

アルミの板材の抜き加工に関しては、板材に傷がつきやすく、また抜き加工の精度が良くないと曲げ加工の伸び率にも影響してしまいます。弊社では精密板金に関して社内にて一貫加工をしておりますので、曲げ加工のような後工程も考慮した抜き加工をするように心がけております。

さらに当社では、アルミ材へのバーリング加工も多々行っております。例としては、板厚1.0mmのアルミ板金でM2~M6の穴径でバーリング加工を行った実績がございます。もちろん板厚が厚くなればなるほど、小さい穴径のバーリング加工は難しくなります。しかし当社はアルミ板金加工のプロフェッショナルとして最適なVE提案も行っております。

 

反りや伸びを抑えた精密曲げ加工

特にアルミの曲げ加工においては、アルミ板金自体の反りや伸びが発生するため、高い精度でのアルミ板金加工は困難になります。そのためアルミの精密板金加工を行うには、アルミの材質特性を理解した上で板金加工を行う必要があります。また先述のように、アルミ板金では高い精度の抜き加工を行うことも、高い精度の曲げ加工を行うことにつながっていきます。

また当社では、アルミ板の曲げ加工に関しては、最小で0.5mmから、最大で5mmまで対応した実績がございます。主に対応しているアルミ材の曲げ加工は1~2mm程度の板材が多くなっています。

さらに当社では、湾曲したアルミ板金製品の製造実績もございます。具体的には、板厚1.5mmのA5052アルミ材を使用し、ファイバーレーザー加工機にて抜き加工を行い、次にロールベンダーにて指定寸法での湾曲面を作り、その後に黒色アルマイト加工で仕上げ工程まで行った製品実績がございます。ロールベンダーでの湾曲面製作がポイントとなりましたが、これまでに培ってきたR曲げ加工のノウハウを駆使することで、大きなR形状の湾曲したアルミ板金筐体部品を製作いたしました。

またアルミ材の最小曲げRについても、板厚0.5~1.5mmの場合は内R0.2、板厚3.0mmの場合は内R3となります。ただしこちらは5000番台での例となるため、アルミの種類や板厚によって最小曲げRは変化します。

アルミの精密板金加工をする上では、このように伸びや反りを含めてR形状を考慮する必要があります。

その他、アルミ板金の曲げ加工について下記でも詳しく解説しております。是非、こちらも合わせてご覧ください。

>>アルミ板金の曲げ加工の種類と加工のポイントとは?

 

変形や歪みを抑えたアルミ溶接

アルミは反射率等の関係から、溶接が困難な材料として知られています。しかし当社では、アルミ板金部品のTIG、YAG溶接事例等もサイトに掲載しております。細かなノウハウはお伝えできませんが、当社ではアルミ板金を用いた組立品について多くご相談いただいておりますので、高精度なアルミ板金溶接を心がけております。

 

前後工程を踏まえた上でのアルマイト処理

アルミ板金で多くなる仕上げ処理はアルマイト処理ですが、精度が求められるアルミ板金部品については、特に注意が必要です。

弊社にて製作しているアルミ製品の中では、メッキされた鉄のポップナットやセルスペーサーをカシメにて取り付ける製品や、2つの部品をリベットにて組み立てる製品がございます。それらの製品の加工は、アルマイト処理を行った後に行います。その理由としては、鉄やステンレスの部品がアルマイト処理の際に層の中で溶解してしまうからです。鉄やステンレスがアルマイト処理の層の中に溶解すると異成分が混ざりこんでしまうため、避けなければなりません。そのため、カシメや組立が必要なアルミ製品については、アルマイト処理後の加工になってしまいます。

また、曲げ加工の前にナット等のカシメ加工が必要な製品は、カシメと曲げ加工の前にアルマイト処理が必要となるため、あらかじめアルマイト処理が施されたアルマイト材を使用しなければいけません。

このように、前後工程を踏まえた上で、どの工程でアルマイト処理をしなければいけないのか、あるいはアルマイト材を使用すべきなのか、という判断がアルミの精密板金加工には求められます。

当社では、防錆や強度向上も目的として、黒色、無色(白)、着色アルマイト等、様々な用途に応じてアルマイト処理まで対応しております。

 

アルミ精密板金の一貫製造体制

アルミの精密板金加工を行う上では、すべての工程が社内で一貫して対応できるかどうかという点も、品質管理の点から非常に重要となります。

当社では、アルミの薄板~厚板の抜き加工から、伸びや反りを考慮した曲げ加工、アルミ溶接、アルマイト処理まで、全て一貫対応することができます。

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アルミ精密板金加工の製品事例をご紹介!

精密板金加工 配線組立.comを運営する島田工業株式会社による、アルミ精密板金加工の製品事例をご紹介いたします。

事例①:監視カメラ用アルミ筐体

監視カメラ用アルミ筐体

こちらの製品は、監視カメラを格納するアルミ製の筐体です。材質はアルミで、ファイバーレーザー複合機による穴あけや曲げ加工、TIG溶接、アルマイト処理、カシメを精密板金加工 配線組立.comで行っております。この筐体に使用するアルミはt:5.0となっているため、ファイバーレーザー複合機にてブランク加工を行っております。

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事例②:レントゲンカメラ用アルミ筐体

レントゲンカメラ用アルミ筐体

こちらは、レントゲンカメラを格納するためのアルミ製筐体です。ファイバーレーザーによる穴あけ加工、曲げ加工、プレス加工、カシメ加工、および溶接仕上げを施して製作しております。

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事例③:アルミ製 宇宙観測機器用ケース

アルミ製 宇宙観測機器用ケース

この品物は、大学研究室にて宇宙観測用機器に使用されるアルミ製の特殊ケースです。材質はアルミA5052材で、板厚は1mm、4つの部品で構成されております。

まずファイバーレーザー加工機で抜き加工を行い、それぞれの部品を曲げ加工します。その後、各部品をYAG溶接にて結合させていきます。板厚が1mmと薄く、また変形や歪みが起こりやすい形状になっておりますので、作業者も細心の注意を払い溶接作業を行っていきました。

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事例④:アルミ製品のアルマイト処理

アルミ製品のアルマイト処理

この品物は実験等に使用される部品となります。 材質はアルミ(A1050)で板厚は1mm、プレスで5工程経て完成します。 左がアルマイト処理前で、右が黒色アルマイト処理後の品物になります。

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事例⑤:アルミ材 板金試作品

アルミ材 板金試作品

こちらは、アルミA5052材を使用した板金試作部品になります。板厚1mmのアルミ材をファイバーレーザー複合機で抜いた後、それぞれの部品の曲げを行い、ポップナットを2点カシメ作業し、小さな部品はリベット止めにて完成になります。

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アルミの精密板金加工のことなら、精密板金加工 配線組立.comにおまかせ!

精密板金加工 配線組立.comを運営する島田工業株式会社は、群馬県・伊勢崎市に板金工場・組立工場を持った、温調圧縮・電気装置機器のOEM受託加工・製造メーカーです。

当社は、①鋼板からの板金加工による装置機器の設計・製作と、②装置機器の電気配線・配管接続等の電気制御技術、というソフトとハードの両面に対応した設計・製作を行うことができるOEMメーカーであることが、最も大きな特徴です。また当社は、装置機器の納入に際して、ヘリウムリーク検査や電気検査、100時間に及ぶ試運転などのように、各種試験を徹底的に行った上で高精度ユニット製品の納入をいたします。

特に近年は、アルミ板金を使った装置機器に関するご相談が多くなっております。アルミ精密板金加工に関しても、当社では抜きから曲げ、溶接、組立まで、一貫して対応可能です。

各種機器のOEM製造やアルミ精密板金加工のことなら、精密板金加工 配線組立.comにまずはご相談ください!

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