精密板金加工 配線組立.comを運営する島田工業株式会社では、現在アルミの精密板金加工に関するご相談を多くいただいております。また、ただ板金加工部品を作ってほしいというご依頼から、筐体組立までお願いしたい、表面処理から配線組立までお願いしたいというご相談もいただいております。
ここでは、特にアルミ板金の曲げ加工の種類と加工のポイントについて、ご紹介いたします。
アルミ板金の特徴
まずはアルミ板金の特徴について解説します。アルミ板金は非常に軽量でありながら強度もあります。
また、アルミ板金は耐腐食性に優れています。アルミニウムは酸化皮膜を形成する性質を持っており、この酸化皮膜がアルミ板を保護します。このため、屋外での使用や湿気の多い環境でも劣化しにくく、長期間使用することができます。
さらに、アルミ板金には熱伝導性が高いという特性があります。熱を迅速に伝えるため、熱交換や冷却などの用途に使用されることがあります。そして、アルミ板金は電気伝導性も高いため、電子機器や電気配線などにも利用されています。
最後に、アルミ板金は可塑性に富んでおり、簡単に成形することができるという特徴があります。このため、曲げたり押し出したりすることで、さまざまな形状に加工することができます。このようにアルミ板金は比較的柔らかい材料である一方で、他の金属と比較して強度が低いとされています。高い応力や衝撃を受ける場合には、変形や破損が生じる可能性があります。
アルミ板金の種類
アルミニウムは、純度が99.0%以上の「純アルミニウム」と、他の金属を添加した「アルミニウム合金」に分けられます。アルミニウム合金は、Aと数字で分類され、それぞれ異なる特性を持ちます。
■ 1000番台
こちらは純アルミニウムで、99.0%以上の純度を持ちます。加工性が良く、強度は低めです。
■ 2000番台
こちらは銅とマグネシウムを添加した合金です。A2017とA2024は「ジュラルミン」や「超ジュラルミン」とも呼ばれ、鉄鋼に匹敵する強度がありますが、耐食性はやや低いです。
■ 3000番台
こちらは、純アルミニウムにマンガンを含有することで、強度と耐食性を向上させたものです。一般的にアルミ缶の材料と使用されます。
■ 4000番台
シリコンが含有されているアルミニウムになります。シリコンの特性である耐熱耐性と耐磨耗性が向上した合金です。
■ 5000番台
こちらはアルミにマグネシウムを添加した合金で、耐食性と加工性に優れ、強度も高いため、様々な用途で使用されます。
■ 6000番台
こちらは、アルミにマグネシウムとシリコンを添加した合金で、強度と耐食性に優れています。ボルトやナットなどの接合部品や、船舶や車両などの材料として使用されています。
アルミ板金の曲げ加工の種類
アルミ板金の曲げ加工は主に2種類の方法に分類されます。
■ ロール曲げ加工
まず一つ目の方法は、「ロール曲げ加工」です。ロール曲げ加工は、平板状の金属や板材を専用の機械の内部を通して、円筒形状に曲げる加工方法です。ロールの直径を変えることで、曲げの径を変えることができます。
■ ベンダー曲げ(プレス曲げ)
二つ目の方法は、「ベンダー曲げ(プレス曲げ)」です。金型とパンチの間に板材を置き、挟み込むことによって曲げる方法です。V曲げやL曲げ、Z曲げといったさまざまな形に曲げることが可能で、生産速度が速く大量生産にも対応可能です。しかし、圧力計算や最適な金型の選定など、技術者に高いレベルを求められる場合があります。
当社のアルミ板金の曲げ加工のポイントをご紹介!
当社では、ベンダー曲げでアルミ板金を曲げております。アルミの加工についても、多数実績がございます。そのような当社だからこそ、実際の加工の中で培った、アルミ板金の曲げ加工のポイントがございますので、紹介させていただきます。
アルミ板金の曲げ加工のポイント①:最適な金型選定
アルミ板金はやわらかく加工しやすい分、鉄などに比べてひび割れも起きやすいといった特性があります。
そのため、無理に強い力をかけて曲げてしまうと、ひび割れが起き不良品となってしまいます。
当社ではそのような問題を避けるために、金型のVの確度を緩やかにし、Rの付いた金型を用いることで、圧力を逃がしながら曲げております。
また、アルミの種類(1000番台~6000番台)や板厚に合わせて最適な加工条件や金型に変更することが重要です。例えば、アルミ板金の5000番台では、綺麗に曲げることができたとしても、6000番台では同じ内Rでは曲げることができないというケースが実際に過去ございました。
また、種類だけでなく板厚によっても条件を変える必要があります。具体的には、5000番台のアルミ板金であれば、板厚0.5~1.5mmであれば内径0.2にし、板厚3.0mmであれば内径R3にする必要があります。
このように、アルミ板金というだけで、一概に最小曲げRを決めることは出来ないため、都度最適な条件、金型で曲げ加工を行う必要があります。
アルミ板金の曲げ加工のポイント②:腰折れしないよう細心の注意を払う
アルミ板金はやわらかく曲がりやすいため、加工が行いやすいですが、一方で「腰折れ」も発生しやすいです。腰折れとは、金型を支点として部材(曲げている根元)が反対側に折れ曲がってしまうことを指します。腰折れが発生してしまうと修正は難しく、不良品となってしまいます。
当社では、圧力がかかりすぎて腰折れが発生しないよう、細心の注意を払い曲げ加工を行っております。
当社の熟練の技術者だからこそ、アルミ板金の材質、板厚に合わせて最適な圧力でまげることができます。
当社は曲げ加工含めた、アルミ板金の加工実績が多数ございます。特に、アルミの筐体製作の実績が多く、下記記事でも詳しく加工のポイントを解説しておりますので、こちらも是非合わせてご覧ください。
その他、曲げ加工に限らず、アルミ板金の加工のポイントについて解説している記事もございます。アルミ板金も長年の加工実績に基づき記載しておりますので、是非こちらもご覧ください。
アルミ精密板金加工の製品事例をご紹介!
精密板金加工 配線組立.comを運営する島田工業株式会社による、アルミ精密板金加工の製品事例をご紹介いたします。
事例①:監視カメラ用アルミ筐体
こちらの製品は、監視カメラを格納するアルミ製の筐体です。材質はアルミで、ファイバーレーザー複合機による穴あけや曲げ加工、TIG溶接、アルマイト処理、カシメを精密板金加工 配線組立.comで行っております。この筐体に使用するアルミはt:5.0となっているため、ファイバーレーザー複合機にてブランク加工を行っております。
事例②:レントゲンカメラ用アルミ筐体
こちらは、レントゲンカメラを格納するためのアルミ製筐体です。ファイバーレーザーによる穴あけ加工、曲げ加工、プレス加工、カシメ加工、および溶接仕上げを施して製作しております。
事例③:アルミ製 宇宙観測機器用ケース
こちらは、大学研究室にて宇宙観測用機器に使用されるアルミ製の特殊ケースです。材質はアルミA5052材で、板厚は1mm、4つの部品で構成されております。
まずファイバーレーザー加工機で抜き加工を行い、それぞれの部品を曲げ加工します。その後、各部品をYAG溶接にて結合させていきます。板厚が1mmと薄く、また変形や歪みが起こりやすい形状になっておりますので、作業者も細心の注意を払い溶接作業を行っていきました。
事例④:医療・医薬業界向け 精密カメラ部品
この部品はファクトリー・オートメーションや医療、バイオ等の分野で使用されているカメラの部品です。抜き、カシメ、曲げ加工を行って製作しております。ブランク工程はファイバーレーザー複合機によって行うことで、高速・高品位な加工を実現するとともに省力化も行えることから、カシメや曲げ加工など後工程により多くのリソースを割くことができております。
事例⑤:アルミ製品のアルマイト処理
この品物は実験等に使用される部品となります。 材質はアルミ(A1050)で板厚は1mm、プレスで5工程経て完成します。 左がアルマイト処理前で、右が黒色アルマイト処理後の品物になります。
アルミにアルマイト処理を行うことで、防錆は勿論のこと、強度も向上します。 この品物は黒色ですが、アルマイト処理は黒色や無色(白)の他にも着色アルマイトもあり、様々な用途に使用出来ることが利点になります。
アルミ板金筐体のことなら、精密板金加工 配線組立.comにおまかせ!
精密板金加工 配線組立.comを運営する島田工業株式会社は、群馬県・伊勢崎市に板金工場・組立工場を持った、温調圧縮・電気装置機器のOEM受託加工・製造メーカーです。
当社は、①鋼板からの板金加工による装置機器の設計・製作と、②装置機器の電気配線・配管接続等の電気制御技術、というソフトとハードの両面に対応した設計・製作を行うことができるOEMメーカーであることが、最も大きな特徴です。また当社は、装置機器の納入に際して、ヘリウムリーク検査や電気検査、100時間に及ぶ試運転などのように、各種試験を徹底的に行った上で高精度ユニット製品の納入をいたします。
アルミ板を使った装置機器等の加工実績が多数ございます。アルミ板の曲げ加工に関しては、最小で0.5mmから、最大で5mmまで対応した実績がございます。アルミの薄板の抜き加工から、5mm程度の厚板の曲げ加工、溶接、アルマイト処理まで、全て一貫対応することができます。
対応できる範囲についてはこちらをご確認ください。
>>アルミの抜き加工は、どれくらいの板厚まで対応可能ですか?
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